2015年11月11日

柱番付け

第一作業場にて墨付け作業を行なう筒井棟梁
A様邸の柱の番付けを行っていました

和室に用いられる化粧柱を
保管している2山分の桧の中から適所に合わせ材を選んでいます
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この山には ある文字が記されています
三ム・二ム一上・二ム・一ム一上など
暗号の様に・・・
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これは桧の表情を表している言葉です 例えば 
「三ム」とは柱の3面が無節(節の無い)ということ
「二ム一上」とは2面が無節で1面が上小節(程度の良い小さい節)
「柾ム」とは柾目(直線の木目)面が無節ということです
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趣のある和室の柱に「節」が表れない様
この宝の山から1本1本選定をしていきます
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棟梁は 心の中で
「ここに節が出てるけん あんたはこの場所やな」
「かなり綺麗な顔つきやから あんたは一番目立つ所やな」などと
何度もひっくり返しながら会話をして決めるのです
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そして選定する際にもう一つ重要なこと
それは柱を立てる方向なのです
山の木は下から上へと水分を吸い上げ成長するので
骨格や細胞のつくりを損なわない様に
家に使用する際も同じ向き「元口は下」「末口は上」にすることは
当然のことなのです
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今の時代 機械式加工(プレカット)が主流ですので
木表・木裏などを判断し加工機を通すのは正直業者様任せです
もし 木を「製品・商品」としてしか見ておらず逆方向に使っていたら・・・
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       (H25:プレカット工場視察)

「木」本来の耐久性や調湿能力が損なわれる可能性があるのです
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弊社が今だに伝統工法「墨付け・手刻み」にこだわるのは
その様なことが無いよう1本1本性格を見極め配することが
木造軸組住宅にとって最善の策だと考えるからです
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余談ですが 木材の元口(下)と末口(上)は
板目の方向などで判断することもありますが
確実なのは この生き節を見ることです
枝は上へと伸びて成長するので 節の年輪も上向きに。
よって芯が上へずれている方向が末口(上)となります
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図面を何度も見比べ 適所に番付けが終わったら
約12.5cmの柱を12cm角に製材 その後
墨付け・手刻みを行ない 最後は鉋(かんな)掛けと磨きを施して
1本の化粧柱が完成です
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            (参考:大分市S様邸)

この手間暇が「繊細」かつ「きりり」とした和室へと生まれ変わるのです




posted by inouekensetsu at 09:40| なぜ墨付けにこだわるの?

2015年10月01日

丸桁刻み(ひかりこみ)

切り込み現場の光景は今も昔も変わりません
墨付け・手刻みの技術は代々受け継がれていきます

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第一作業場では
数寄屋造りの軒庇増築工事を行なうT様邸が
切り込み現場の視察に来られました
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作業場一杯に材を転がし
実寸で組み合わせを行います
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1本 数百キロと長く重い材料のため
若い手と現代の産物フォークリフトの力を借ります
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丸太と丸太を組み合わせる至難の技のため
何度も嵌めては外しての繰り返しです
人の目と経験 まさに匠の技が必要とされます
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コンパスを使いながら微妙な凹凸に沿って記しを付けていきます
同時に下から「ひかりこみ」を行います
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縁桁の組み上がりはこの様な形になります
この直下に化粧柱が5本入ります
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その化粧柱がこちらです 隣の倉庫内に保管しています
背割りの入った桧の角柱の表面には節は出ていません
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奥に進むと
他の材=垂木(たるき)も確認できます
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四面無地の本当に綺麗な材を見てお施主様も笑顔です
知人の造園屋さんもご納得して頂きました
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最後は軒裏の化粧板(節無しの杉板銘木)を確認
杉特有の赤白のハッキリした板目模様は上品な仕上がりです
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どれをとっても
日本古来の伝統建築=数寄屋造りにふさわしい材だと思います
T様は「現場途中を見れることは幸せで、来て良かった・・・」
とおっしゃって頂きました


posted by inouekensetsu at 15:45| なぜ墨付けにこだわるの?

2015年06月08日

墨付け見学

先日 地鎮祭を迎えたS様ご家族
お子様達が興味ある墨付け見学に行ってきました
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始めに甲斐棟梁から木や墨付けの簡単な説明
でも小学生には少し難しい説明だったかもしれません・・・
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次はリビングの梁材に記念の名前入れ
初めはちょっと照れていた長男君でしたが次第に場に慣れてきました
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お姉ちゃんも注目を集めながら 少し恥ずかしそうに書き入れを完了
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奥様も写真撮りの合い間にしっかりと書き入れ
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そして ご主人も気持ちを込めて「家内安全」と書き入れしました
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続いて墨付け体験です 
棟梁が追っ掛け継ぎの墨打ちの模擬を披露
手慣れたスピードでスッスッスーと完成
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長男君は初めて見る道具に興味深々
棟梁と一緒に墨壺で線も引きました
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直角に線を引く差し金のお話も・・・
「尺寸」と「cm」の2種類の差し金の使い分け・・・
やはりこの話が一番難しかった様です・・・
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でも線を引く楽しさは別だったみたいです
真剣な眼差しで何度も何度も黙々と引いていました
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最後は実際の手刻み作業を見学
屋根裏に使用する丸太梁のほぞ穴加工です
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リズム良く 鑿(のみ)をカンカンカンと打ち込んで完成
削った木肌にも触れ 滑らかさを体感
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この他 ちょっとした体験も・・・
棟梁指導のもと
のこぎりで木を切ったり、金槌で釘を打ってみたりと
楽しい時間を過ごすことができました
 
でも流石! 金槌の打ち方は
剣道の竹刀のように真っ直ぐ振りかざしていました・・・
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今月末に上棟予定のS様邸
書き入れした梁材が組まれるか楽しみです!



posted by inouekensetsu at 20:40| なぜ墨付けにこだわるの?

2015年03月17日

墨付け

大分市内S様邸の整地工事も完了し
これから基礎工事へと掛かります
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同時平行で第二作業場では塩島棟梁が
墨付け・手刻み作業を行っています
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屋根を支える母屋材を刻んでいました
これは 以前紹介した
手刻みならではの伝統的な「追掛大栓継ぎ」です
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一度 組み合わせ確認をし
込み栓を打つ為の穴あけ加工を行います
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微調整をし 位置が決まれば
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ドリルで2ヶ所の穴を開けます
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ここに 固い樹種=欅(けやき)の込み栓を打ち込みます
機械式のプレカット加工による 一般的な「鎌継ぎ」とは違い
引張りや曲げに強い昔ながらの継手となります
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そして平屋建てのガッチリとした小屋組を支える
地松の太鼓梁も搬入されました
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posted by inouekensetsu at 18:04| なぜ墨付けにこだわるの?

2012年02月03日

旧家の太鼓梁

約200年前に建築された旧家から引き上げた太鼓梁です

これから建替えをするため 新居の躯体として加工をしていきます
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外見は現在の塗装ではなかなか表現できない
深みのある天然着色
加工をすると芯はとてもきれいな色の木肌でした
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新たな部材と組上がり
この太鼓梁も更に年月を重ねていきます
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木は永遠に息づとく言われますが
自らの樹齢よりも更に生き続ける「木」に
あらためて感動しました
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posted by inouekensetsu at 08:26| なぜ墨付けにこだわるの?

2011年12月24日

柱取り

大工は墨付けをする際 常に3次元で軸組を考えます

例えば柱に極度の荷重が掛かる場合
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柱のほぞを基礎まで貫通させる「長ほぞ」をとります
これは柱が土台にめり込まないように荷重負担を低減するためです
左が一般的な柱のほぞ  右が長ほぞです
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また和室等の化粧柱の柱取りをする際は
節が表に出ないように振り分けを考えていきます
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和室の高さを示す定規(柱づえ)をあてながら節の位置を確認
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この場合は長押(なげし)で節が隠れるように
柱高さの取り方を替えていきます
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イメージですが
ちょうど長押の裏側に節がある様な感じです
手刻みの良さを生かしながら
可能な限り節の見えない和室にこだわりを持っていきます
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和風とは程遠いのですが 今日はクリスマスイブです 
皆様良い週末をお過ごし下さい

posted by inouekensetsu at 08:25| なぜ墨付けにこだわるの?

2011年12月16日

鉋がけ

今回の手刻みは和室の化粧柱=桧無節の加工です

荒木の状態から
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電動鉋(かんな)をかけ
寸法も合わせ
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きれいに仕上げます
でもこれで終わりではありません
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ここからが手加工のこだわり 
また大工冥利に尽きる鉋がけが始まります

鉋は用途に応じ使い分けられます
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まずは砥石で刃を研ぎ 
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刃の出かたを調整して
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いざ鉋がけです
塩島棟梁は切れ味がすぐに悪くならないよう
3丁の仕上げ鉋を順番に使っていきます
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何度も触れて仕上がりを確かめます
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確認を終えると柱かどの面を取って仕上げです
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辺りは薄く削られた桧の香りがとても心地良く広がっています
木目がきれいに出ました
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鉋がけの終えた化粧柱です
太陽に反射して光っています
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最後に桧の美しさを持続するためワックスがけをします

色合いと下地処理の目止めとして「との粉」を塗ります
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乾いてから白木用ワックス
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1本の化粧柱を大切に気持ちを込めて仕上ていきます
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posted by inouekensetsu at 09:00| なぜ墨付けにこだわるの?